歯科

ダイレクトボンディングとラミネートベニアについて

東京銀座歯科/副院長 安達政輝 (インプラント・審美治療担当)
東京医科歯科大学歯学部インプラント・口腔再生医学分野大学院所属後、インプラントと審美歯科担当として東京銀座歯科にて勤務。特に審美歯科に特化した治療を得意とし、ダイレクトボンディングやラミネートベニア治療を行なっております。

ダイレクトボンディングによるすきっ歯の治療

すきっ歯(正中離開)の治療

この患者様は20代女性の方で、以前より前歯の隙間が気になっていたそうです。彼女はまだ20歳で高額な治療もなかなか手が出しにくいということもありましたし、なるべく治療の内容も軽度で済むようなものを望んでいました。そこで、ダイレクトボンディングというような治療があることを知り、インターネットでいくつかの医院を調べて、当院が良いということでご来院されました。

左が術前の写真です。見て分かるように前歯二本の間に隙間が空いているので、笑ったときや、おしゃべりしているときどうしても目立ってしまいます。右は術後の写真になりますが、ダイレクトボンディングの治療をすると前歯の隙間も埋まって、歯の色も分からないくらい自然な仕上がりになります。治療の回数も1回で済み、麻酔もしないので、比較的若い患者様でも敷居が低い治療方法かなと思います。

ダイレクトボンディングとは、どのような治療になりますか?
安達副院長:

ダイレクトボンディングはコンポジットレジンという材料を使う治療方法です。光の照射で硬化するレジンを歯の患部と周辺に塗って、くっつけていく作業をします。この様な正中離開(すきっ歯)の治療の場合は歯を削らずに治療ができます。
イメージでは歯に隙間があるので、隙間の部分にだけ材料を詰めれば良いと思われると思いますが、患部となる歯の側面だけに材料を詰めると材料と歯の接着面がごく少量となってしまいます。そのため実際に治療する際は、歯の表面や、場合によっては裏側にも材料を盛って行きます。

こうして多めに歯につけて不要な材料を削って調整しますが、歯を削るこは基本的にしません。 小さな虫歯や隙間を埋めたり、変色してしまった過去の詰め物を新しく詰め直すのに向いています。


すきっ歯の治療の場合、治療期間と費用はどれくらいになりましたか?
安達副院長:

この患者様は初診時に来ていただき診察したところ、歯の表面に若干の汚れは付いていますけど、歯ぐきからの出血は全然無く良好なので、当日中に治療できる状態でした。遠方から来院されており、患者様本人も当日中に治療したいという希望もありましたので1日で行いました。時間にすると、1時間〜1時間30分くらいのお時間をいただきましたが、それくらいで終わるような治療です。

費用については、ダイレクトボンディングの場合一歯、一歯で数え、1本の歯が2万円で、この様な治療は2本の歯を埋めるので4万円必要となります。

すきっ歯の治療期間と費用
  • ■治療期間:1日
  • ■治療内容:ダイレクトボンディング
  • ■総額費用:44,000円(税込)

ダイレクトボンディングによる歯の欠損の修繕治療

歯の欠損の修繕について

この患者様は30代前半の方で、見て分かると思いますが前歯が大きく欠けています。ご趣味のサーフィンをしているときにサーフボードが前歯に当たって折れてしまったそうです。見た目も悪く、前歯が無いとサ行の発音も難しくなり、このままでは生活においても不便ということで来院されました。
この症例の場合、欠損が大きく、ダイレクトボンディングだと材料が外れてしまうリスクがあるので、ラミネートベニアという別の治療方法の方が向いていることをお伝えしました。

しかし、患者様もラミネートベニアは歯を削る必要があるので抵抗があり、コストの問題でも難しいというこで、ダイレクトボンディングでの治療をご希望されました。

こちらの症例の場合、どのような点が苦労しましたか?
安達副院長:

ダイレクトボンディングは基本的には当日治療が行えるような治療ですが、この患者様は患部が大きいので、どのようにダイレクトボンディングの材料を乗せれば良いのか、イメージしにくい症例でした。そのため、初診時は型取りをさせていただいて、模型を作りシミュレーションを行いました。 そして、この写真の様に欠けた部分を作って、具体的に歯の形はこのような感じになるということを検証し、噛み合わせの調整を行いました。

この結果分かったことですが、歯の表面に関しては見た目もあり、大きくダイレクトボンディングを盛ると少し厚みができてしまい、良くありませんでした。なので、歯の裏側の方に厚みを持たせる方法で接着面の面積を増やして接着させることにしました。

こちらが裏側から見たところです。本来歯が欠損している部分は赤い枠線部分ですが、この部分だけ装着すると接着面が少なく外れる可能性が高いので、歯の裏側の部分(青い枠線部分)も厚みを持たせるように装着しました。 材料がここまで大きいと舌触りが普通の歯に比べて、大きいので気になるところかなとは思いますが、患者様にもお伝えして納得した上でダイレクトボンディングの治療をしました。


これが術後の写真になります。 欠損部分はダイレクトボンディングの材料が詰まっています。欠損部分だけではなく周辺まで材料が多めに詰まっているのですが、その辺は材料と歯の段差ができないように綺麗に均一にして、舌触りも見た目も含め、なるべく綺麗になるようにしました。


こちらの症例の場合、治療期間と費用はどれくらいになりましたか?
安達副院長:

治療期間に関しては、この患者様は2回の通院で治療を終わることができました。初診に来ていただいて、それから約1週間後に治療が終わりました。細かいですけれど、本当は小さい虫歯や歯の変色も全体的にあるので、全ての治療を行えばもっと綺麗にできますが、患者様は必要最小限の治療を希望していましたので、欠損の修繕治療だけ行いました。 総額2万円の治療でとても満足いく結果になって患者様にも喜ばれました。

歯の欠損の治療期間と費用
  • ■治療期間:1日
  • ■治療内容:ダイレクトボンディング
  • ■総額費用:22,000円(税込)

ラミネートベニアでできる治療

前歯の凹凸の改善

こちらの患者様は前歯が前後に凸凹していることが気になるということと、昔に虫歯治療をした箇所の詰め物が変色したのが気になるという主訴で来院されました。左が治療前、右が治療後の写真です。
凸凹も治したい、それで虫歯も治したいとなると、ダイレクトボンディングでは難しいです。特にダイレクトボンディングでは前と後ろの凸凹を治すことが難しいので、そこも治したいようであればラミネートべニアの治療が良いですよ、ということを提案させていただいて合意を得てラミネートべニアの治療を4本やるようにしました。

ラミネートベニアとは、どのような治療になりますか?
安達副院長:

ラミネートべニアの治療というのは、薄いセラミックの歯を貼り付ける治療をするのですが、どうしても歯の表面を少し削らないといけません。少しとは言え、虫歯が無い健康な歯でも削らないといけないので、この点はデメリットとなってしまいますが、歯の形を変えることができます。例えばこの患者様の場合、治療前は歯の先端がちょっと飛び出したり、角度が上に上がっています。しかし、治療後を見ると真っ直ぐ綺麗に並んでいます。この症例のように歯の形も変えられるので、審美治療の面でも有効な治療法です。

これが治療途中の経過で、歯の表面を削った後の写真です。 歯全体が縞々になっているように見えますが、これは歯を削りすぎないように、コンマ数ミリかの数値で削れるように目安を付けているためです。また、歯の根元の黒い物は歯ぐきより下に歯を削らないようにするために入れた糸です。これより下を削り歯ぐきにダメージが無いようにしています。
歯を削る作業はやり直しができないので慎重に調整をしていきます。

ラミネートベニア治療とセラミック治療の違いは何ですか?
安達副院長:

ラミネートべニアの材質、材料は色々ありますが、歯の表面を削り、薄いセラミック製の歯を貼りつける治療をします。例えるなら、つけ爪のような感じです。主に負荷があまりかからない前歯の治療に使われます。
一方、セラミック矯正やオールセラミッククラウンというセラミック治療は歯全体を覆うような感じになっています。歯は芯と土台となる分だけ残して削るので、削る面積は多くなってしまいます。
こちらは主に負荷が強くかかる奥歯の治療に使われます。

ラミネートベニアの治療期間と費用はどれくらいになりますか?
安達副院長:

ラミネートべニア治療の通院は複数回かかります。 また、治療の間の期間はどうしても少し日数が必要になります。 具体的に言うと初診時から最小の治療回数で4回必要です。

  • ・初診時に情報を収集する。
  • ・2回目に歯を削って型取りをし、仮歯を付ける。
  • ・3回目にセラミック歯の試し合わせをして色や形を確認する。
  • ・4回目に本歯を付ける。

もちろん、症例によって通院回数も変わります。

費用はラミネートべニア治療は1本10万円になります。 仮歯もつけないといけないので、仮歯も1本1万円かかってくるので、1本あたり11万円かかってきますね。だから、4本やると44万円になります。

この患者様は他の周りの歯も白くしたいというので、ホワイトニングの治療も行っています。ホワイトニングも歯医者さんでやるホワイトニングで2回で4万円となっています。なので、この患者さまは、計48万円(税抜)かかりました。これらの工程を最小回数で行い、各々の期間は1〜2週間くらいかかります。そのため、全体の治療期間は2〜3カ月くらいかかります。このように、ダイレクトボンディングと比べるとちょっと治療期間が長くなります。

前歯の凸凹の改善の治療期間と費用
  • ■治療期間:2ヶ月
  • ■治療内容:ラミネートベニア
  • ■総額費用:484,000円(税込)
    ※ホワイトニングを除く

東京銀座歯科
副院長 安達政輝 Masaki Adachi
編集より

この度は、インタビューにご協力いただき感謝申し上げます。
審美治療を検討中の方にこの記事が少しでもお役にたてれば光栄です。歯は見た目だけの問題ではなく、健康にも大きく影響しますので、後悔の無い選択をされてください。

<協力>
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